2 吸収
2.1 食事の影響
健康成人16名にシルデナフィル50mgを食後又は空腹時に単回経口投与し、体内動態に及ぼす食事の影響を検討した。シルデナフィルのTmaxは食後及び空腹時投与でそれぞれ3.0及び1.2時間であり、食後投与により吸収速度が有意に減少し、Tmaxが1.8時間延長することが認められた。Cmaxは食後投与で149ng/mL、空腹時投与で255ng/mLであり、AUC∞はそれぞれ697.5及び806.2ng·hr/mLであった。食後投与によりCmax及びAUC∞は空腹時に比べてそれぞれ42%及び14%有意に減少した。
4 代謝
シルデナフィルは主として肝臓で代謝され、その主要代謝物N-脱メチル体の生成速度はCYP3A4が最も速く、次いでCYP2C9であった。
5 排泄
5.1 健康成人6名にシルデナフィル10、25、50、75、100及び150mgを単回経口投与した時の投与後48時間までの投与量に対する未変化体の累積尿中排泄率は、0.3~0.6%と僅かであり、投与量に関係なくほぼ一定の値を示した。
5.2 健康成人6名にシルデナフィル50又は100mgを1日1回7日間反復経口投与した時の投与量に対する未変化体の24時間毎の尿中排泄率は0.2~0.9%の間で推移し、単回投与時と同程度であり反復投与による変化はなかった。
6 特定の背景を有する患者
6.1 腎機能障害患者
健康成人8名及び腎機能障害患者16名を対象にシルデナフィル50mgを単回経口投与した時、腎機能の低下が軽度(クレアチニンクリアランス:Ccr=50~80mL/min)及び中等度(Ccr=30~49mL/min)の障害者では血漿中シルデナフィルのCmax及びAUC∞は健康成人における値と有意差がなかったが、重度障害者(Ccr<30mL/min)ではCmax及びAUC∞ともに健康成人に比べて約2倍と高い値を示した(外国人データ)。
6.2 肝機能障害患者
健康成人12名及び肝機能障害患者12名を対象にシルデナフィル50mgを単回経口投与した時のシルデナフィルのCmax及びAUC∞の平均値は健康成人に比較して、それぞれ約47%及び85%増加し、シルデナフィルのクリアランス(CL/F)は46%減少した(外国人データ)。
6.3 高齢者
健康高齢者(65歳以上)15名及び健康若年者(18~45歳)15名を対象にシルデナフィル50mgを単回経口投与した時のTmaxは、高齢者及び若年者でそれぞれ1.2及び1.1時間となりほぼ同様であった。Cmaxは高齢者で302.5ng/mL、若年者で178.2ng/mLであり、高齢者は若年者より60~70%高い値を示した。AUC∞は高齢者及び若年者でそれぞれ1077.0及び586.0ng・hr/mLとなり、高齢者が若年者の約2倍高い値を示した。t1/2は高齢者で3.8時間、若年者で2.6時間であり、高齢者において長かった。高齢者ではクリアランスが有意に減少することが示された(外国人データ)。注)本剤の日本での承認用量は1日1回25mg~50mgである。